アルゴリズム史×個人サイト 第2回

第1話で書いたように、このサイトは「偽装PR5」のオールドドメインの上に作りました。第2回は、その「PR」、つまりツールバーのPageRankがどうなっていったかの話です。

ツールバーPageRankとは何だったのか

Googleは検索システムの内部で、ページの評価を計算する仕組みとしてPageRankを持っています。そのデータを0から10の数字にして、ブラウザのツールバーで誰でも見られるようにしたのが、ツールバーPageRankです。Googleツールバーの公開は2000年12月でした。

数字が見えれば、値段が付きます。中古ドメインの市場では、この数字がそのまま値札として使われていました。

年に数回の更新が生んだ抜け道

ツールバーの数字は、検索順位のように日々変わるものではなく、数か月に一度しか更新されませんでした。検索エンジン側の順位は日々動くのに、ツールバーの数字は古いまま、というずれが生まれていきます。

このずれが、偽装の抜け道になりました。ドメインをPageRankの高いサイトへ一時的に転送しておくと、次の更新で転送先の数字がそのまま表示される。見かけの数字だけが高いドメインは、こうして作られていました。

最後の更新は2013年12月6日

ツールバーPageRankが最後に更新されたのは、2013年12月6日です。前回の更新から10か月ぶりでした。2014年10月には、GoogleのJohn Mueller氏が今後更新する予定はないと述べ、2016年3月には、ツールバーからPageRankの表示そのものが削除されました。

このサイトのファイルの日付は、2013年11月から始まります。偽装PR5のドメインにサイトを作り始めたのは、まさに最後の更新の頃でした。値札が止まる直前に、値札の付いたドメインで勝負していたことになります。

数字が消えても、評価は消えない

誤解されやすいのですが、なくなったのはツールバーに表示される数字だけで、Googleが内部でPageRankの仕組みを使うのをやめたわけではありません。変わったのは、外から数字で評価を測って売り買いする、という商売の前提です。

見える数字を追いかける戦略は、その数字の提供元が表示をやめた時点で終わります。いま個人サイトを運営している人にとっても、外部ツールのスコアを目的にしてしまう危うさは、同じ構造だと思います。

この記事の参考資料と用語の解説は、参考資料と用語解説のページにまとめています。

第1回 パンダとペンギンの時代第3回 WELQ騒動と医療・健康アップデート